Long

□11th
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「できましたよー。」


チルドレンの3人が途中で遊びに来たり、賢木が摘まみ食いしに来たりしたが、ようやく完成した。


別に迷惑だったわけではないが、少し時間は余分にかかった気がする。



「うわ!すごいわ!」


「ほんと、すごいわ!」


「ねぇねぇ、もう食べてもいい?」


「どうぞ。あ、手は洗ってね。」


渚が注意すると、3人は元気よく行ってしまった。


入れ違いに、先に手を洗っていた賢木と皆本が食卓へ来た。



「うまそーじゃん。」


「すごい…、僕なんかよりずっと上手だよ!」



「そんなことないですよ。もうすぐあの子達も帰ってきますから、座っててください。」



そしてまた料理を運ぶ。


大人数だということで、今日はかなり頑張った。


おかずの種類も結構多い。



「渚ちゃーん!」

「うわっ!?」


また新しいものを運ぼうとキッチンに戻る際、薫が飛びかかってきた。


幸い何も持っていなかったため、被害はなかったが。


「どうしたの?」


「なんか急に飛び付きたくなったんだよ。」


「薫ばっかり狡い!ウチも!」


「私も!」


薫同様、葵と紫穂も飛び付いてきた。


3人は流石に無理がある。


「こら、渚さんを困らせるな!」


「大丈夫か?」


耐えきれずに座り込んでしまった渚から、皆本は3人を引き離した。


賢木が手を差し伸べて彼女を立たせる。


「ありがとう。」




「渚さんごめんなさい!」


「渚はんごめん!大丈夫?」



「大丈夫だよ。じゃあ食べよっか。」


謝られた渚はその程度のことで謝らなくても、と困ったような笑い方をした。



全員が席につき、手を合わせていただきますと言う。


とても賑やかな夕飯だった。









「渚ちゃんの料理すっごく美味しかった!!」


「ホント、何処で覚えてきたん?」



「…本と接触感応能力の応用みたい。」



紫穂が渚に触れながら言う。


「いやいや、渚の実力も入ってるよ。本から読み取ったあと、ちゃんと身に付けてる。」


賢木も彼女の肩に手を置いて言った。


「15歳でこんなに上手にできるなんて本当にすごいよ!」


「ひょっとしたら皆本より上手いかもよー?」


薫はそう言ってニヤリと笑う。



「そんなことないよ!皆本さんの方が上手だって!」


実際に食べたことないが、賢木から聞いた話では皆本の料理は絶品だそうだ。




“個性とかあるからどっちが上手いかなんて決められないけどさ、2人とも最高だと思うぜ。”



不意に賢木から送られてきた思念波。


この場にいる精神感応能力者は渚だけだ。


つまり、彼女に向けられたものだといえる。


渚は目を見張って驚き、やがて小さく微笑んだ。



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