Long
□8th
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接触感応能力で外にいる人物を調べると、そこにいたのは先程から考えていた人物、渚だった。
彼は原因不明の苛々と、先程の悩みなどを知られないよう、いつも通りの態度でドアを開けた。
「どうしたんだい?」
此処へ来たということは、渚に何かあったということなのだろうか。
「あの、…シャワー貸してください!」
「は?」
頭を下げて言う渚。
しかし意味がわからない。
何があったんだ。
明らかに驚いている兵部に、少し顔を上げた渚は説明し始めた。
彼女の話によると、部屋のバスルームから水が出なくなってしまったらしい。
接触感応能力で調べると、部屋に繋がる水道菅が割れているのだとわかった。
水道屋に直してもらうしかないらしいが、何かうますぎる気がする。
「僕にも透視せてくれないかい?」
聞いてみると、渚は「どうぞ…」と申し訳なさそうに言った。
彼女の部屋のバスルームへ行き、シャワーに触れる。
確かに水道管が割れている。
しかもバスルームに繋がる菅だけが。
「ッ……」
不意にシャワーから思念波が流れてきた。
兵部にしか透視めないように色々なプロテクトがかけられているようだ。
“折角チャンス作ったんスから無駄にすんなよ、ジジイ。”
誰がジジイだ!?
まったく派手にやってくれた、と兵部は苦笑するしかなかった。
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