Long

□6th
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「失礼します。」


局長室に誰かが入ってきた。


「誰、ですか?」


賢木はその人物を見て桐壺に尋ねていた。


見た目からは随分と幼い子に見える。



「あぁ、彼女は岡崎渚クン。バベルの特務エスパーだヨ…」


彼は驚愕した。


そして腹立たしかった。



自分よりも小さい子が、既にバベルで保護されている。


自分は、普通人の中で傷つきながら暮らしてきたというのに。


「すみません、お話中でしたね…」


「いや、構わないヨ。報告してくれたまえ。」



「……」


彼女、渚は賢木を見て頭を下げてから桐壺に話し始めた。



任務の内容を淡々と話す渚。


年齢に似合わず丁寧な言葉遣いで、昔からそういう風に話していたのだろうと思わせた。



「あの、彼は…」



渚がまた賢木を見た。


「彼は賢木修二クン。エスパーだヨ。バベルに入ってもらおうと…」



「エスパーなんですか!?」


突然、渚は嬉しそうに賢木に聞いた。


そして彼に歩み寄る。


「はじめまして、岡崎渚といいます!」


目を輝かせて賢木に挨拶する渚は、年相応の笑顔だ。



「賢木、修二…」


気付けば彼もまた名乗っていた。



しかし、納得できない。


「局長、どうしてこんな小さな子が既に特務エスパーなのに、俺は今更誘われるんですか…!?」


「…渚クンは……」


「私が話します。」



桐壺の言葉を遮り、渚は静かに言った。


「賢木さんは、接触感応能力者ですよね…?」



教えてもいないのに知られている。


賢木はそれに驚いたが、彼女は特務エスパー、それも能力の一種なのだろうと一人納得した。



「失礼します。」


「ッ!」


いきなり手を握られた。


瞬間、頭の中に流れ込んできたイメージ。


賢木は渚の過去を知った。



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