Long

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20XX年、B.A.B.E.L.本部――



「いやー、今日もお手柄だね、渚クン。」



ニコニコと効果音が付きそうなくらいの笑みを浮かべて桐壺は言った。



「ありがとうございます。」


彼に褒められ慣れている渚は、微笑んで礼を述べる。



「君は本当に何でも出来るネ。」



「そんな…今の私があるのは局長やバベルの皆さんのおかげです。」



謙遜。


まわりの者はそう思うだろう。


だが彼女はそうは思っていない。



自分の今があるのは目の前にいる桐壺やバベルのおかげ。


彼ら無くして今の自分はあり得ないのだと、褒められる度に思っていた。






渚は2歳を過ぎた頃両親に捨てられた。


原因は彼女が高超度エスパーだったからだ。


化け物と呼ばれ、散々虐待を受けた挙げ句捨てられた彼女。


本当に小さい頃のことなのに、今でもはっきり覚えてる。


だが、彼女にはそれとほぼ同時期に起きた出来事の記憶の方が鮮明に残っていた。


そう、救われたときのことだ。




***


バベルの突入部隊の人々が一斉に渚を取り囲んだ。



そこに居たのは、伝えられていなければ性別も分からないくらいの小さな小さな子。



少女だとは聞いていたが、まさかここまで小さいとは思っていなかったのか、隊員達の動きは止まった。



薄い布のようなものを1枚着ていただけの少女は、そこですやすやと眠っている。



隊員達はその子を起こさないようにそっと抱き上げ、バベルの本部に運んだ。



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