Long
□33rd
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だがそれ以降は特に気の重くなるような会話はなかった。
食事中はくだらないことで笑ったりして楽しんだし、普通の食事風景だったように思う。
賢木の好物ばかりだったためか、彼は少々余分に作ったものをすべてたいらげていた。
そうして後片付けを手伝い、そろそろ帰ろうかというところで、彼はある質問を投げ掛けた。
「そうだ、渚。」
「ん?」
「この間の宴会のことだけどよ…」
簡単に言えば、彼の質問は自分がどのような状態になっていたかということだった。
途中からの記憶がないらしく、もしかしたらとんでもないことを言ってしまったりしていたのでは心配していたらしい。
本当はこれが聞きたくて来たのではないかと、渚は小さく笑った。
「大丈夫。酔って気は失ってたけど特に問題になることはしてないよ。」
「そっか。…あの時は連れて帰ってくれてありがとな。」
「どういたしまして。こちらこそ、余ってたご飯食べてくれてありがとね。」
「ごちそうさま。美味かったぜ。」
もう一度ありがとうと言った賢木に渚もまたお礼を返し、出ていく彼を見送った。
何もなかったと言ったとき彼が少しほっとしたように見えたのは気のせいではなかっただろう。
帰ってきたときに誰かの名前を呟いていたことには敢えて触れなかった。
はっきりとは聞き取れなかったし、確証のないことで彼を焦らせたくはなかったのだ。
***
「74時間か…」
時計を見た兵部は、小さく呟いた。
4日後に帰ると約束したが、もう期日になってしまった。
会えなかったことを考えると長かったが、物事をこなすことを考えると短かったように思う。
「少佐、大丈夫ですか。」
「あぁ。」
この3日間、兵部全く眠っていない。
無理をして、しなければならないことを詰め込んできた。
おかげで今日中にはすべて片付けられそうだが、渚と会うのは無理かもしれない。
「…4日は、ちょっと言いすぎだったかな。」
「………」
自嘲気味に笑い、またモニターに視線を移す。
真木はそんな兵部を、心配そうに眺めた。
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