Long
□20th
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体の調子が大丈夫なら、学校に行かなければ。
渚はそう思った。
昔は違ったが、今は普通の学生なのだ。
「…よし!」
2日間休んだ学校。
休む前と後で違うのは、兵部がいないということ。
たったそれだけのことだが、それが示す事態は大きい。
だがそれでも行かなければならないのだと、渚は瞬間移動した。
学校から少し離れた場所に現れ、そこから歩く。
「渚!」
名を呼ばれ振り向けば、そちらから駆けてきた同じクラスの子。
「おはよう。」
「おはよう。1人で歩いてくるって結構寂しいよね。」
この人は兵部に興味があったらしく、渚の兄だと偽っていたときに色々と彼について聞いてきた人物だ。
「そう?」
「うん。だからこの2日間寂しかったんだよ?」
「え…?」
休んでいる間に何かあったのか。
渚が理解できていないといった表情でいると、彼女は笑って言い出した。
「病気とかで忘れちゃった?私たち、だいたい毎日この辺で会って一緒に学校行ってたじゃない?」
「…っ……」
その瞬間すべて理解した。
兵部に関する記憶が、改竄されているのだ。
彼自身によって。
「本当に覚えてないの?」
「っ、覚えてるよ。忘れるわけないじゃない!」
言ったところでどうせ話は通じない。
そのため渚は彼女に話を合わせた。
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