Long

□17th
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「ここでエスパーが暴走するん?」


「そうらしい、けど…」


着いたのは、なんの変哲もない河川敷。


人もほとんど通らないようなこの場所で、何が起きるというのだろうか。


「とりあえず、予知された時刻までは様子を見ましょう。」


「…そうだね。」



皆本と話をし、彼らは橋の下で待機することになった。





「そういえばさ…」


橋の下でただ立っていると、薫が急に切り出した。


「渚ちゃんって雰囲気変わったよな。」


「え、そう?」


「うん。なんか、なぁ?」


「ウチも思った。なんか、優しくなった。」


「…………」


そう言われても、本人にはわからない。


「元々優しかったんやけど、最近もっと雰囲気が丸くなった気がする。」


「…そうかな……」


自分では気付かなかっただけで、そうなのだろうか。



この子達と出会ったのも最近なのだから、変わったのはもっと最近だろう。


ただ初対面の人に対しての態度じゃなくなっただけではないのか。



「あ、わかった!女の子っぽくなったんだ!」


突然薫が叫んだ。


「…私、女だよ?」


「薫ちゃんの言いたいことなんとなくわかるわ。より女らしくなったと言うか、魅力的になったと言うか…」


「それだ!」



ますますわからない。


それは同年代の子と接することが多くなって、この年頃の子らしくなったということなのか。


そのくらいしか、理由が見当たらない。


「まあ何にせよ、渚はんにとってええ方向に向かっとるんは間違いないよ!」


「っ……ありがとう。」



任務前独特の緊張が少し和らいだ。


これがチームなんだと、密かに思ってしまった。


1人なら、こんな風に気を紛らわせたりできない。


やっぱり羨ましいと思った。







「なぁ、そろそろじゃねぇ…?」


「あぁ…」


予知された時刻の20分前。


これほど近くなれば、何かしらの変化は見受けられるだろう。



例のエスパーはここで何かを起こして暴走するのか、他所で能力が開花しコントロールできずにここで爆発するのか。



強い超能力が関与しているために、はっきりとは予知できなかったと柏木は言っていた。



その人物が男なのか女なのか、子供なのか大人なのか、それすらわからない。


だから逆に、緊張する。


「渚さん…?」


「え?」


しまった、考え込んでいて話を聞いていなかった。


「例の人物がそろそろ現れるかもしれない。一応、まわりを調べてくれないか?」


「あ、はい。少し待ってください。」


皆本に指示を受け、透視能力を発動させる。


「ッ………」


「何か、わかったかい?」


「誰かわかりませんけど、10人くらいの集団が向かってきます…」


「なっ…!」



ありえない。


予知では例の人物が1人で暴走することになっている。


先の10人くらいのいざこざが原因だったとしても妙だ。



「顔が、見えない…」


「…どういうこと?」


「透視能力なら離れた場所にあるものも鮮明に見える。でも、今はそれができないの……」



それほど例の人物の超度が高いのか。


姿は見えたため相手が大人だということはわかったが、謎は深まるばかりだ。



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