Long
□12th
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瞬間移動で入ってきてもいいと言われたが、やはりそれは失礼かと思う。
渚は玄関のドアの前に立ち、インターホンを鳴らした。
相手を確認するための機械もあるはずだが、兵部は接触感応能力でわかったのだろう、すぐにドアを開けた。
「いらっしゃい、楽しかったかい?」
「あ、煩かった!?ごめんなさ…」
不自然な箇所で言葉が切られる。
それは彼女が驚き、言葉を失ったせいだ。
いつもは渚が先に入らせてもらってるため見たことなかったが、今の兵部はバスローブ着ている。
「いや、何も聞こえてこなかったけど…ん?あぁ、これかい?」
変かな?と聞く兵部。
「ううん、似合ってるよ!」
首を左右に振って返したが、バスローブが似合うという言葉は誉め言葉なのだろうか。
だが、渚は彼らしいと小さく笑みを零した。
「ありがとう。上がりなよ、どうぞ。」
「お邪魔します。」
兵部の部屋にあがり、渚は奥へと進む。
そういえば、と彼女はあることを思い出した。
明日やっと修理に来てくれる。
本来ならばもっと早くに来たのだろうが、それもパンドラにいる一部の者によって妨害されていたのだ。
だが渚はその事実を知らない。
随分と長かったこの生活スタイルも、今日で終わりだとしみじみ思っていた。
しかし迷惑をかけずに済むのだから喜ぶべきことなのに、少し寂しいと思く思うのは何故なのだろうか。
一声かけてシャワールームを借りる。
いつも早く出るように心がけてるが、今日は特に気にした。
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