Long
□8th
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「今日は早めに自分の部屋帰ってくださいよ。」
そう言ったのはパンドラの葉。
珍しく彼が真剣に言ってきたから、おとなしく聞いてやろうと兵部は早めに帰ってきた。
もの凄く不本意だが、何かあるのだろう。
部屋に戻り、ソファに座って脚を組む。
「渚…」
超度7以上のエスパー。
出会う前からあの子の存在は知っていたし、興味もあった。
だから予知能力で少し未来を予知して、渚が住む予定のマンションに移り住んだ…
近くに居た方が何かと情報を得やすいだろうと、それだけしか考えていなかった。
しかし、渚にはチルドレンに対する思いとは少し違う何かがある気がする。
それが何なのか、今の兵部には全然わからないが。
“何かあったら僕の部屋においで。”
意識せず発した言葉だが、何の意味もない。
室内にいて一体何が起きるというのか。
彼は少し自嘲気味に笑った。
来るわけがない。
あの子は人に迷惑をかけたくないと、そればかり考えて行動するような子だ。
いつまで経っても“兵部さん”と呼ぶし、敬語のまま。
そんなことを考え出すと、また苛々してきたことに気付く。
何だというんだ。
どうしてそんなことで苛々するのか、全くわからない。
人知れず溜め息をついたとき、部屋のインターホンが鳴った。
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