Long
□4th
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渚は口をパクパクさせていた。
兵部がまさかあの部屋に住んでいるなんて。
だが驚いてはいるものの、別に嫌だったわけではない。
新しい場所に来て、何もかもわからない状態の彼女にとって、兵部が近くにいるのは非常にありがたいことだった。
「そういうことだから、改めてよろしくね、渚。」
「よろしくお願いします!」
彼女はこの状況を受け入れることにした。
そして彼もまた、この状況楽しんでいるようだ。
わからないことも多いが、それもいつかわかっていくだろう。
渚には、いつの間にか新しいところに来たという不安がなくなっていた。
「あ、もうこんな時間か。」
兵部は時計を見てそう言った。
「ごめん、もう行かなきゃいけないんだ。」
「あ、はい。じゃあ…」
「またあとで来るよ。じゃあね。」
別れを告げ、兵部は消えてしまった。
渚はその少し後、段ボールから荷物を取りだして生活できる部屋にする。
すべて片付けた頃には、19時を過ぎていた。
「ご飯、作らないと…」
彼女はキッチンへ向かう。
引っ越し祝いに少し豪華なものを作ろうかと思ったが、すぐ現実に引き戻された。
引っ越したばかりなため、冷蔵庫には何も入っていない。
「買い物、行くか…」
部屋の鍵を閉め、鞄と財布と携帯電話を持って、暗いから危険だと瞬間移動で近くのスーパーまで行った。
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