Long

□12th
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次の日いつものようにバベルに行くと、渚は皆本に出会した。


「おはようございます。」


「おはよう。昨日はごめんね、迷惑かけて…」


「迷惑だなんて。とっても楽しかったですよ。また遊びにいらしてください。」

彼女がそう言うと、皆本は笑う。


「あの子達にも言ってあげてくれるかな。きっと喜ぶと思うよ。」


そして朗らかに言った。


「わかりました、今度会ったら言ってみますね。」


渚も笑顔を返す。


「あ、そうだ。局長が渚さんのことを呼んでたよ。」


「そうなんですか?ありがとうございます。」


そして別れを告げて局長室へ向かった。


どっちみち、恒例の朝の挨拶に行かなければならないから行くつもりではあったが、何かあったのだろうか。






「失礼します。」


ノックして扉を開ける。


「おぉ、渚クン!待ってたよ!」


待っていた。


そんなに重要なことがあるのだろうか。


「どうかしたんですか?」


「ウム、柏木クン。」


「おめでとう渚ちゃん、明日から学校に行けるようになったのよ。」




「え……」


彼女は自分の耳を疑った。



「局長と管理官が政府と言い合ってね。渚ちゃんが学校に行けるようにしてくれたのよ。」



確かに彼女は行っていない。


チルドレンたちは最近行くようになったらしいが、渚の場合超度が7ではないため許可がおりなかったのだ。



「でも、私の超度では行けないんじゃなかったんですか?」


「そうね。でも、そこを局長と管理官が頑張ってくれたのよ。そうですよね、局長?」


「渚クンはうちの大事なエスパーでもあるが、中身は普通の女の子なんだからネ!そのくらい当然だヨ!」



「…ただ、何処でも自由に行けるわけじゃないのよ。バベルの監視下にある学校で、ナオミちゃんとは別の学校なんだけど……」



どうやら本当に行けるらしい。


「ありがとうございます!」



彼女は本当に嬉しそうに礼を言った。


学校の存在は勿論、どんなものかも賢木に教えてもらったことはあったが、実際に見たことや入ったことは一度もない。


「喜んでもらえてよかったわ。これに学校の制服と鞄、その他必要なものが入ってるわ。」


柏木は説明しながら渚に大きな紙袋を渡す。


「渚クンは義務教育を受けていないが、多分授業についていけるだろうしネ。楽しんでおいで。」


「はい!」



「じゃあ今日は、帰ってゆっくり休んでくれたまえ。任務も今までより少なくするよう配慮するつもりだヨ。」



「では失礼します。」



一礼し、局長室を出て扉を閉める。



「修兄に知らせなきゃ…!」



その一心で渚は医療研究課を目指すべく長い廊下を駆け出した。



To be continued.
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