Long
□7th
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渚が家に帰ると、やはり兵部と桃太郎がいた。
次の日も、その次の日も、必ずと言っていいほど2人がいた。
とても居心地のいい空間で、彼らにはそれが当たり前となってきていた。
そんなある日、いつものように3人で食事をしたあと変化が起こった。
「ごめん。今日は帰らなきゃいけないんだ。」
「あ、そうですか…」
「モウ帰ルノカ?」
「あぁ。でも、何処かに行くわけじゃないから、何かあったら僕の部屋においで。」
「はい。」
「じゃあね。」
そう言って、兵部と桃太郎は消えた。
急に静かになった部屋。
時刻は現在、20時30分過ぎ。
少し早いが風呂に入って寝てしまおうと思った。
しかし―――
「あれ…?」
シャワーからお湯が出ない。
否、水さえも出ない。
「あれれれ…!?」
借りて早々この部屋はどうなっているのだと、渚はパニック状態に陥った。
「どうしよう。」
バベルに何か言えば何かしら対処はしてくれるだろうが、何が起きるかわからない上にあまり迷惑はかけたくない。
しかし、だからといって銭湯などには行きたくないのが年頃の女の子。
「…あ……」
何かを思い付いたのか、渚は小さく声を漏らす。
しかし、その案もまた何か問題があるようで唸り出した。
兵部にシャワーを借りる。
それこそ本当に迷惑をかけることになるが、今彼女に思いつくことはそれ以外になかった。
「…いいよね。お互い助け合わなきゃ……」
相互扶助ならば問題ないと自分に言い聞かせ、渚は自分の部屋をあとにした。
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