Long
□28th
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昼食を終えた昼下がり、何もすることのない休日をただ静かに2人で過ごすのは渚の好きな時間の過ごし方の1つだった。
だがその静けさを破るように、低い男性の声が聞こえてきた。
「少佐、今お時間よろしいでしょうか。」
その声はどうやらパソコンから聞こえているようだ。
兵部はちらりと渚を見たあとソファから立ち上がり、そちらへ近づく。
渚に向こうが話す重要機密が聞こえないようヘッドフォンマイクを使い、彼は会話を始めた。
「……そうか、わかった。」
そして会話が終わると申し訳なさそうな顔を渚に向ける。
「ごめんね、急用ができたんだ。」
「あ、はい。」
恐らくパンドラの何かなんだろう。
いってらっしゃいの意味も込めて挨拶し部屋を出ようとすると、腕を引かれて兵部に抱き込まれた。
「…行ってくるよ。」
額にキスを落とした彼は、それだけ言って瞬間移動する。
言い逃げ去れて少々悔しい気分になったが、渚も隣にある自分の部屋に瞬間移動した。
そういえばいつの間にか外は騒がしくなくなっている。
賢木の引っ越しが終わったのだろうか。
そんなことを考えながらふとカレンダーに目をやると、卒業まであと1週間だということに気づいた。
卒業すればバベルで本格的に働くことになっている。
もちろん今が中途半端というわけではないが、学校に行くようになってだいぶ任務の数を減らしてもらっているのだ。
今日の兵部のように、急に呼び出しがかかることも多くなるだろう。
そう思ったとき、携帯が鳴った。
「はい。」
「渚クン、今時間はあるかネ?」
かけてきたのは桐壺だった。
「えぇ、大丈夫ですよ。」
兵部も行ってしまったし、特にすることもない。
「じゃあ局長室に来てくれないか?話したいことがあるんだ。」
「わかりました。」
返事をして、渚は電話を切る。
そして制服に着替えるとバベルへ瞬間移動した。
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