短編
□春風にのって
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"桜の木の下で告白すると成功する"
誰が言い出したのかもわからない噂。
そんなことを信じているワケじゃないけれど。
冬なのにどこか暖かかったあの日―確かこんな日を小春日っていうんだ―彼に出逢った。
桜の木の下。彼はキャップを深くかぶって気持ちよさそうに眠っていた。
あんまり気持ちよさそうだから興味がわいて傍に寄った。
幼い顔立ち。今思えばあの時すでに私は彼に惹かれていたのかもしれない。
"桜の木の下で告白すると成功する"
誰が言い出したのかもわからない噂。
そんなことを信じているワケじゃないけれど。
あなたに出逢ったのは桜の木の下でした。
だからここで伝えよう。
春風にのって
(届け、私の想い)
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