短編
□夕陽色
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目を覚ますと夕暮れだった。
「よう、目ェ覚めたか。」
『――っ!?』
声のほうを見ると私が寝ているベンチに人間が座っていた。
というか今こいつ…
「お前、破面だろ?」
『!?…私が見えるのか?』
「あぁ、俺は死神代行だからな。」
『死神…。』
あぁ、寝てたとはいえ、私は死神が近くにいるのにも気がつかなかったのか。
「じゃあな、すぐ帰れよ。」
そういって死神は立ち上がった。
『ま、待て!』
「あ?」
『何故…私を殺さなかった。』
「なんでって…寝てたから?」
『は?』
普通寝ているからこそチャンスではないのか。
まさか卑怯だとかそんな理由で……
「何もしてねェ奴、わざわざ殺すことないだろ?」
『綺麗事を言うな!お前と私は敵同士だ!!』
「敵…だけどよ。アンタと戦う理由、ねェしな。」
そう言ったあなたの笑顔と夕陽色が忘れられない。
夕陽色
(鮮やかなオレンジが)
(目に焼きついた)
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