一方現代では−−・・・
「さっきの風強すぎや、小春大丈夫か?」
目にゴミが入らぬよう閉じていた瞳を開けるとそこに居たはずの人物が消えている事に気がつく。
「ゆうくんウチは大丈夫やで!せやけど・・・」
金色が何かを言おうとした時、すぐそばで騒ぐ声が聞こえてきた。
「あー!姉ちゃん達が居らへん!さっきまでそこに居ったのに消えたー!」
遠山の言葉で気づいていなかったメンバーも4人がこの場から消えている事に気がつく。
風が吹いたほんの一瞬で4人は皆んなの前から姿を消したのだ。
そんなにあり得ない事が起きてしまった四天宝寺は、その後跡部が呼びに来るまでその場を動くことが出来なかった。
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長の話を聞いて、早速男3人組は簡単な体術などを習うために部屋から出て行った。
3人が部屋から出て行ったのを確認してから空は静かに口を開く。
『それで、今の情勢を詳しく知りたいのだけれど?』
そんな空を見て長は口角を上げた。
「それを知ってどうする?」
『先程も言ったように、私達はこの乱世のことを何も知らない。しかし、無知がいかに愚かで恐ろしい事なのか、私は知っている。つまり、少しでも今の情勢を把握することで、今後の身の振り方を決めることが出来る。あの子ら3人は大事な試合が控えてるため、なるべく怪我はさせたくない。そのためには、私の持ちうる力で、出来る限りの事をしたいと思っている。・・・今一度問う。今の情勢はどうなっている?』
空の何かを決意した眼。
その奥に隠れる揺らめきを長は目を細めて見やり、再び口の端を上げると広げていた扇を閉じる。
静寂のその場には扇を閉じる音がやけに大きく響いた気がした。
「ふ、なるほど。それも一理ある。この乱世で無知とは死を意味する。・・・蔵ノ介」
長が一声かけると、側に控えていた白石が地図を広げた。
(これが日の本の地図や)
(戦国乱世の日本地図・・・)