HÅyaRiGAmi
□馳せる熱※
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さすがにこんな交通状況だと、どのホテルも満室ばかりだ。
仕方ないので警視庁のコネを使い、よく利用するホテルの一室をどうにか空けてもらう事が出来た。
簡単な食事を済ませてから部屋に入ると小暮はいきなり頭を下げた。
「先輩、自分も同じ部屋ですみません」
別に小暮のせいではないのに、なぜか謝られる。
風海は「編纂室で寝るよりいいですよ」と笑ってみせたが小暮はどうも落ち着かない様子でソワソワしていた。
「もしかして落ち着きませんか?」
風海が狭い部屋に置かれたベッドを見つめて、
「…ダブルの部屋だから、ですか」
そう言ってため息混じりに微笑むと、小暮は『風海に呆れられた』と取ったようで慌てて首を横に振った。
「いいえ!大丈夫でありますよ!押忍!!」
「それなら良かった。じゃぁ、小暮さん先にシャワー使ってください」
風海はスーツの上着を脱いで備え付けのハンガーに掛けた。それをぼんやり立ち尽くしたまま見つめる小暮。
「…一緒に入ろうなんて言いませんから」
風海はまたからかってみた。すると小暮は予想通りに顔を真っ赤にしてシャワールームへ駆け込んでしまった。
順番にシャワーを浴び、ホテルの簡素な浴衣を着るとふたりは同じ床に就いた。
中央よりやや右端の方で眠る風海と、ベッドの左隅ギリギリの所で寝ている小暮。
「……?」
眠っていた風海は体を圧迫されているような息苦しさを感じて目を覚ました。
「…あれ…どうしました…?」
目を開けると、すぐ側に小暮の顔があった。どうやら小暮に抱き締められていたらしい。
力強い抱擁で風海はちょっと痛いくらいだった。
「小暮さ…?!」
呼びかけの途中で唇を奪われた。
無遠慮に熱い舌が口内に差し込まれ、乱暴に風海の舌を絡め取る。
「…ん、ぅ…ッ」
息が出来ない位唾液を流し込まれ、風海は首を横に向けて小暮の唇から逃れた。
…ハァ、ハァ、…風海は息が切れていた。
小暮はさらに風海をギュッと抱き締めると、風海の首筋に顔を埋めながら呻いた。
「先輩…ッ…自分は…もう限界であります…!」
荒々しい息が風海の耳にかかる。押し付けられた下半身には、興奮が熱を帯びてたぎっている。
…しかし首筋には、濡れたような感覚があった。
肩を震わせる小暮の頭に手をやり、優しく髪を撫でながら風海は言った。
「小暮さん泣かないで………僕も同じ気持ちですから」
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