短編
□お兄ちゃんは心配性
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うちの妹が、この街に住む魔法使いに突然つきまとわれるようになったのはちょうど半年前のことだった。
正直、僕より五つ年下の妹はかつて美人で有名だったかつての婆さん(いまはしわくちゃの梅干しのような婆さんである)に似て、かなり可愛い。くすみのないストレートの金の髪に、透き通った青い大きな瞳、ぬけるような白い肌。
まあ、性格がおてんばで多少男勝りなとこが難点ではある。兄バカって思われてるかもしれないけれど、いやそれでもいい線いってると思うんだ。テレビや雑誌の子役よりうちの妹のほうが絶対可愛いし。
いつかは、きっと僕の手を離れて他の男のもとに行っちゃうんだと理解はしていた。結婚式とか想像しただけでまじ泣けてきた。
けど…まさかこんなに早くにその日が来るなんて思いもよらなかった。
だって
うちの妹はまだ十歳なんだから。
お兄ちゃんは心配性