白昼夢
□だって…
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「なに王子の命令無視して寝てんの?」
不機嫌そうな彼の声で、意識が覚醒する。
最低な目覚めだ。
其れでも、あたしは目を閉じたままで唸る。
「…うぅん。」
だって、あたしの仕事じゃないもん。
そう心の中で抗議する。
「お前の所為で、ボスに怒られたし」
ベッドが軋む。きっと彼がベッドに腰掛けたんだろう。
「だって…あたしの仕事じゃない…。」
さっきまでしまっていた言葉を、口にする。
「は?口答えするなよ。」
彼がすこし怒ったように言ったのが、癇に障った。
「だいた…ぃ!」
顔が近い。
思いっきり起き上がって、抗議したため彼との距離なんか何にも考えてなかった。
ちゅっ。
嗚呼。なんて迂闊なんだろう。
あたしの唇に触れたのは。
彼の唇。