白昼夢
□5000ヒット記念拍手
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ちゅっ。
自分のリップ音を初めて聞いた。
重なるは、苦手な彼の唇。
「うへぇ!!!」
スクアーロを突き飛ばすと、あたしは口を押さえる。
「オレは悪く無いぞぉ!お前が、引っ張るから…!」
「ちゃんと立ってろや!うわーん!」
くそぅ。よりによってスクアーロなんかと…
がっくりと、うなだれるあたしを更にどん底に落とす一言。
「責任を取ってやる!」
「……は?」
スクアーロがあたしの手を握る。
「オレがお前を嫁に貰うぞぉぉ!!オレの嫁になれぇ!!」
だから声がでかいって……。
呆然と立ち尽くす、あたし。
興奮からなのか、頬を赤らめる彼。
ただ、ただ。
夢であって欲しいと。
祈る様な気持ちで。
握られた、左手が熱かった。