白昼夢

□早くおいで!赤ちゃん!
1ページ/3ページ




少し膨らみ始めた、お腹をそっと撫でてみる。




つついてみる。






中に居る、あたしが待つ君は動かない。








シャマル先生が、お腹の中で動くのが分かるのはまだまだ先だって、言ってたなぁ。







毎日、走って、走って。

ザンザスとの「結婚」という二文字から逃げていた、あたしのお腹には彼の子供が居る。


ちゃっかり結婚もしている。





「人生何があるかわからないね?」





あたしは君に話しかける。





「あら、独り言?」





声の方から、ミルクのたっぷり入った紅茶の甘い匂いがする。





「ルッスオネエ様。ううん。お腹に向かって話してたの。」




ルッスオネエ様は、柔らかく笑むとあたしの隣に腰掛ける。




「この中に、花子とボスの子供がいるのよねー。」


「うん。」




ルッスオネエ様は、あたたかい手で優しくお腹を撫でる。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ