白昼夢
□こんにちわ、赤ちゃん
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「あなたは妊娠しました。」
晴れた日の午後。
ふと、こんな文字があたまの中に浮かぶ。
鮮明に。
何かの間違いじゃないかと、もう一度自分に問いかける。
「なにかの、間違いじゃ…?」
でもあたまの文字は、はっきりとあたしに告げる。
「いいえ。あなたは妊娠しています。」
高校に入学し、ザンザスに出逢った。
「会長」と呼ぶ次期を経て、今は結婚して夫婦として一緒に居る。
しかめ面の、ザンザスが目に浮かぶ。
お腹をそっとさすってみる。
…喜んでくれるのだろうか…?
独立暗殺部隊のトップとして、日夜神経をすり減らしているはずのザンザス。
自身の子供の誕生を、喜ぶ余裕があるとはあたしには思えない。
「うぅ…。どうしたものか…。」
いつもと何ら変わらないお腹。
窓の外。
ただ、違うのは…。
期待と、不安。
それがお腹に入ってること。
「とにかく…。シャマル先生に、確認してもらおう。」
あたしは、出かける準備をする。
外に出るとき、いつものヒールのある靴をやめてぺたんこの靴にした。
「さぁ、行こうか。」
自分に言ったのか?
それとも…?