白昼夢
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ヴァリアーの御屋敷での食事中に、ちょっとした事件は起こりました。
会長は、生徒会長なのに赤ワイン片手に(生徒の見本にならなきゃいけないのに…!)チーズをつまんでいます。
あたしは、見ないふりを決め込みます。
「ねぇ、あれとって。」
マーモン君が、小さい手を伸ばします。
「はい、どうぞ。」
「ありがとう。」
お皿を渡すと同時に、マーモン君の膝からナプキンが落ちました。
「あ。」
あたしは、椅子の下に入り込んだ、それを取ろうと屈みました。
「ごめん。」
あたしは、「ううん、いいよ」とマーモン君に言おうと体を起こそうとした……
その時。
ちゅっ。
あれっ?
柔らかくてあたたかい…
もしかして…
ガタン!!
会長が椅子から勢いよく立ち上がる音で、我にかえりました。
「…マーモン…!」
「嫌だなぁ。ボス、ボク悪気は無いよ。事故だよ。」
「そうです!マーモン君は悪く……」
ヒュッ!
言葉を遮ったのは、会長が投げたナイフ。
あ、危ない…
背中に冷や汗が垂れます。
「うるせぇ…」
会長は吐き捨てる様に言うと、自室に戻って行きました。
「うわぁ…。」
後の事を考えると、憂鬱です。
「ごめんね?」
マーモン君が、あたしの方を向いて言いました。
「ううん。大丈夫。」
あたしは、マーモン君の膝にナプキンを乗せます。
其の時。
確に聞こえたんだ。
彼があたしに囁いた言葉。
きっとあたしにしか聞こえてない。
「御馳走様でした。」
思わず顔をあげると、マーモン君の唇の端が上がってた。