白昼夢
□早くおいで!赤ちゃん!
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「母乳で育てると…」
「いや、それ聞くの二回目です。あと、胸ばっかり見ないで!いやらしい!」
「花子!怒ると胎教に良くないわよぉ!」
嗚呼。
…もうすぐ、一児の父になるのにザンザスは相変らずだし…。
「花子。夫婦のスキンシップも重要らしい…!」
「だーー!!こら!」
おもむろに胸の方に伸びてきた、ザンザスの手を振り払う。
「もう!ボス!!まだ母乳は出ないわよ!!」
「ルッスオネエ様…。」
ものすごい見当違いに、突っ込む
気力も失せる。
ザンザスと、ルッスオネエ様はまだ育児書を読みながら、あーでも無い、こーでもないって言ってる。
きっとスクアーロさんも、後から来て大騒ぎになるんだろう。
お腹をもう一度撫でる。
ねえ?
早くおいで?
君を待ってる人がいるよ。
君が来る前から。
いとしくて。
愛おしくて。
どうしようもなくて。
ただ。ただ。
未だ見ぬ、君を待ち侘びる。
君に会いたい。
窓の外の、小鳥が囀る声が綺麗で。
揺れる葉っぱが、まぶしくて。
あたしは、何時までもお腹を撫でていた。