白昼夢
□早くおいで!赤ちゃん!
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少し膨らみ始めた、お腹をそっと撫でてみる。
つついてみる。
中に居る、あたしが待つ君は動かない。
シャマル先生が、お腹の中で動くのが分かるのはまだまだ先だって、言ってたなぁ。
毎日、走って、走って。
ザンザスとの「結婚」という二文字から逃げていた、あたしのお腹には彼の子供が居る。
ちゃっかり結婚もしている。
「人生何があるかわからないね?」
あたしは君に話しかける。
「あら、独り言?」
声の方から、ミルクのたっぷり入った紅茶の甘い匂いがする。
「ルッスオネエ様。ううん。お腹に向かって話してたの。」
ルッスオネエ様は、柔らかく笑むとあたしの隣に腰掛ける。
「この中に、花子とボスの子供がいるのよねー。」
「うん。」
ルッスオネエ様は、あたたかい手で優しくお腹を撫でる。