■夢の間■
□紅の月-7
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「火澄…今の話本当?」
ドアの前に立つ支葵。
いつものような気だるげな雰囲気では無く思いつめたようなそんな表情だった。
『本当よ。私はヴァンパイア…あなた達の親。』
「っ…」
確かに彼が感じるのは自分よりも上の…
そう、純血種と対峙した時の恐怖と同じモノだ。
『…こっちに来て座りなさい。寒いでしょう?』
でも、自分の前で微笑む彼女はいつもの彼女で…
「ぅん。」
『……私のこと嫌いになった?』
ソファーに座り直してから続いた沈黙を破ったのは火澄。
「何で…?」
『…貴方が好いてくれたのは針師の皇火澄であってヴァンパイアであるセレス=ヴィクトリアでは無いから…』
「っ…んで…」
『え?』
呟くような声、彼を見ると下を俯き震えている。
『支kきゃっ!?「何で決めつけるの!?俺は…嬉しい…の…に……」
支葵は火澄を押し倒し潤んだ瞳で見ていた。
「火澄がヴァンパイアだって聞いて嬉しい…
何で人間なんだろうって、どうして外法師なんだろうって思ってた……
俺は純血種じゃ無いから火澄をヴァンパイアに出来ないし、
それに火澄は外法師だから堕ちない…枢様にレンフィールドにして貰おうかも考えたけど、俺は火澄だから好きなんだ。
心がない火澄じゃ嫌だった…
ずっと…ずっと一緒にいたいって思ってて……
無理だって解っててもいたくて…
一緒にいられるかも知れないと分かって凄く嬉しいの…に…」
不意に頬に冷たさを感じた。
彼は支葵は泣いていた…