■夢の間■

□紅の月-1
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「お父さん!!女の子が…」

ある夜、皇家の前に一人の少女が倒れていたのを家の娘、煉が見つけた。
歳の頃は十歳ほど栗色の髪が血に染まり力無く横たわっていたのだ。


その後、少女は名を夜行火澄と名乗った。自分は針を使う魔を滅っする言の出来る者でこの血はその魔のものだとも…


火澄が第三者に対しここまで言う事は稀であり今回は理由もあった。

それは……


『…皇一門。あなた方も針師、退魔針をお使いになる数少ないヴァンパイアハンターの方々ですね。』


そう、彼女を拾った家は火澄と同じく退魔を生業としている家系だったのだ。


「いかにも。私達は最古の針師と言われているヴァンパイアハンターの者だ。夜行という名はあまり聞かないが君は……」


問いたのは一門当主皇火影。


『はい。ご想像通り、私も針師…そして外法師です。』


外法師とは遠い祖先にヴァンパイアを持つ者で血に力を秘めたもの達を言う。
だがヴァンパイアの血の効力は薄くほとんど普通の人間と変わらない。だが力は絶大で普通のヴァンパイアなら数滴で灰と化す。


その後の話で夜行を名乗る外法師は火澄一人になったこと、夜行は定住せず火澄には家が無いと、まだ11歳になったばかりと言うこと…全てを聞いた上で当主火影は一つの決断を下した。


「皇の養女として迎え入れたい」


と。火澄にはこの上ないありがたい申し出だった。11の子供が生き抜けるほどこの世界は優しくない。それを知っていたから…

『……ありがとうございます。』


火澄が現れてから三日後、彼女は正式に皇の養子になり、皇火澄
と名を変えた。だがハンターとして出るときは夜行を名乗った。理由は簡単、外法師はその力を捨てられないから。そして夜の自分も……
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