■夢の間■

□紅の月-7
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『…信じられないだろうし、理解しがたかったと思うけど全て事実。
私が今まで長い時を生きてきたのは彼に…再び会うため。


私の時を止め、共に有ることを定めた彼が1人だけ楽になろうなんて卑怯じゃない…




夜は私達の罪ー…




私達は死ぬ事ではなく生きて、最後まで見守る事で罪を償うべきだと思うの。

私達は時に縛られない唯一無二の存在…時の牢獄で生を終える者。




私がヴァンパイアなのも、



全ての始まりだということも、



聖女であったことも、



今退魔士であることも…



全てが事実。』



話し始めた時は不安そうな口振りで表情にも迷いが見えた。

でも、話終えた彼女の瞳には強い何かがあった。



「…それが全て事実だとして、火澄は私に何を…私は何を選択すればいいの?」


未だに定まらない心の不安が涙となって流れた。


『っ…姉さんには三つの道があるの…


一、堕ちるのを定めと滅びを求める。


二、私の血を口にして私の隷属となること。


三、私の伴侶となること。』


「ぇ…?」


『私の血は全ての子と同等であり凌駕するもの…
だから当然帳の血を呑み込むわ。だから二はクリアよね?

伴侶は性別は関係無いの。
伴侶も伴侶を求める事が出来る…
ただリスクは有るし、何より私の血に耐えれるかは分からない。
でも、隷属として生きるよりも安全は保証されるわ。

姉さんが選んでくれればいいの。
学園内にいるのだから1ヶ月なんて直ぐだし、心配無いわ。
確証が有るわけでは無いけど、私の血は姉さんを受け入れる。


だから…姉さん……』


強いと思っていたのに、自分の前で震えながら涙するのは確かに自分の妹で…

まるで、すがりつくように自分を見ているのが分かった。


「…分かった。でも、1日待って……ちゃんと答えを出すから。」


『わかった…今日は休んで?隣にも同じ部屋があるわ。シャワーもキッチンも好きに使って構わないから…』


「ありがとう…」


2人は目を合わせなかった。


煉が部屋へと消えた後、火澄はため息をつきうなだれたまま視線だけをドアへと向けた。





『支葵…いるんでしょ?入って来たらどう?』





扉が開いたー…
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