■夢の間■

□紅の月-4
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枢への挨拶もそこそこに火澄と煉は《風の塔》と呼ばれる陽の寮と月の寮の中間にある火澄の部屋へとやって来た。


この塔は元々、初代ガーディアンとして火澄が入学した時に激務であり時間も不定期なため寮の生活は苦しいとの配慮から彼女に与えられた云わば家だ。


キッチン、バスルーム、トイレ等全て完備の為生活に困ることは無かった。


『姉さん…支葵と早園が言っていたのだけど……』


火澄がそう切り出すと煉は“ビクッ”っと反応した。


『……そろそろだと…通常の計算で行けば5年強、人は彼らの魔力に挑み生きることが出来る。
でもそれは通常の場合のみ。純血種に咬まれた人間はヴァンパイアに変異し、ENDへの道をたどる。
血を欲するのは初期の段階……でも、回数が増えるごとに狂い堕ちていく。でも姉さんの場合は違う。
帳は緋桜の血族の中でも異端とされるほど力を持つ者だった。
その力は閑をも凌ぐ…だから姉さんは直ぐに変異してしまった。
そして侵食のスピードも異常なほど早く現れている。


私の読みではあと半年が限界。


そして………






…今が選ぶ時なのよ…姉さん。』
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