■夢の間■

□紅の月-10
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『炎羅。血界も張らずに戻らないで…』


振り返ると火澄が指から血を流して佇んでいた。


「火澄!?」


うろたえる煉と申し訳無さそうに微笑む炎羅。


「大丈夫…あれは血界と言って、自らの血を媒介に行う術式です。血の魔力容量によりますが、自分の周囲を実際の空間から隔離…ようは切り離す事が出来るんです。」


「…凄いわね。」


「母上なら切り離したあちら側に自身を作り上げ対応させる事も出来るでしょうね。」



自慢気に話す炎羅の表情は嬉々として母親の話をする子供のようだった。


『まぁ、純血種ならそれなりの形には出来ますよ。』



溜め息混じりに呟いた。


「母『さて、ただ会いに来た…そんな訳が無いですよね?常世炎羅さん?』


「「Σ…;;」」


まず有り得ない。
そんな美しい笑顔だったと後に煉は語った。
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