■夢の間■

□紅の月-1
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「今回はどの国にしようか…」


ある月の綺麗な夜、1人の女性が街を歩いていた。
彼女の名前はセレス=ヴィクトリア外見の年齢は17.8と若く見える美しい女性だ。
腰まである髪は栗色で絹のような細さとやわらかさを持ち、軽くかかるウエーヴが彼女をより美しく見せているようにも感じられる。ブラウンの瞳は月の光に反射し時々金に輝いて見えた。



「日本…そうだわ日本へ……。大陸を歩いてもう1000年は経っているし、もしかしたらあの島国にいるかもしれない…」



1000年、人には長すぎる年月。そう、彼女はヴァンパイアと呼ばれる血を好む種なのだ。
それも始祖の血統に名を連ね、王より血を受けたただ1人の女。



「早く出てきなさいよ…もう待っていられない…」


彼女は月を見上げつぶやいた。
彼女が待つのはただ一人。自身を夜の種へと堕とし、長き時を生きる事を運命付けた男。
そして彼女が最も愛する「王」と呼ばれた彼。


そして彼女は海を渡り、島国へと渡った。
どの地にもヴァンパイアは存在し、純血種と呼ばれる人の血が混ざらぬ者を頭にその国々でコミュニティを作りヴァンパイアの世を統一している。





古き世、今から一万年ほど前。
王と呼ばれ夜の国には絶対の存在があった。力を持ち、時の流れに左右されない大いなる力を持った存在。人は彼に恐れ、恐怖し、彼を亡き者にしようとした。


表向きそれは成功したものと思われた。だが実際はその伴侶により未然に防がれ彼は封印された。
だがその封印は形あるものではなく、見つけ出す事は困難を極め一万年が過ぎた今も彼女は王を探し夜を歩いているのだ。
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