血濡れた情報屋
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「……でも、邪魔になったら殺してね」
通さないと言うのだから、そうなのだろうけど、それでも釘を刺しておく必要があった。
私の言わば家庭事情のせいで彼らを振り回したくはない。
「どうやれば、君を殺せるの」
「………え…」
君を殺そうとすれば返り討ちでしょ、と言う彼の言葉に恥ずかしくなった。
情報屋として、馬鹿な失態をしてしまったわけだ、ニヤリとした彼の方が情報を上手く使っている。
「…こ、これから‥邪魔になる前に、ちゃんと扱えるようになる、なります‥!」
彼が協力してくれると言うなら心強かった。
よくわからない期待と希望のような気持ちが私の中で膨らんでいた。
「…ふーん」
愉快そうに私を見る彼に、もう勝てる気がせず、目を反らした。
するとタイミングよく車は停まり、助け舟かのように草壁さんが声をかけた。
「着きました」
「…うん」
クツクツ笑う彼に、草壁さんは不思議そうな顔をしたが、隣の私を見て納得したような顔をした。
車を降りると小さめの飛行機が停まっていた。
イタリアに飛ばなくてはならない仕事で、彼が用意してくれたのも知っていたけれど、立ち尽くしてしまった。
「…夢奈、早くして」
「‥う、ん」
彼の背を追い私は彼の自家用ジェットに乗り込んだ。
しばらくして、耳が痛くなるような音とともに飛行機は動き出した。
もう数え切れないほどの飛行機への搭乗だけど、これはどうにも慣れない。
彼を見るとやはりというか、優雅に足を組み、私の様子を見て愉快そうにしていた。