血濡れた情報屋

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「…よく綱吉がそんな条件を呑んだね」


呆れ顔の彼は隣で優雅に足なんて組んでいて、私は慣れないお高そうな車内で居心地が悪くなっていた。


「……そう言う雲雀さんだってちゃんとついて来てくれてるじゃない」


彼の言う通り、ボスは私の条件を飲んでくれた。
私はボスに情報を渡すと、ボスは彼を呼び任務を言い渡し、今に至るわけである。
ブツブツ言いながらも車まで出してくれる辺り、やはり彼は優しい人だと思う。


「綱吉が条件を飲んだんだ、君一人を外に出すわけには行かないからね」

「…ですよねー‥」


居心地の悪さと彼の深い深い溜め息に苦笑しながら小さくなった。
俯いて視界全体に入ったいつ採寸したのかわからないオーダーメイドだというスーツが、恥ずかしかった。


「……雲雀さん、ごめんなさい」

「何が」


これから彼を、ボンゴレを巻き込んでしまう事、多分雲雀さんを用心棒として私が仕事をすれば、その情報はアイツの所まで伝わるから。
そうなればアイツはボンゴレに何かを仕掛けてくるだろう。


「…私がいるせいで、刺客が現れるだろうから」


多分ボスが頭を抱えている小ファミリー同士の小競り合いも大きくなるだろう。
私の情報からボスが上手く終結へ運んでくれたなら話は別だけど。


「…鼠一匹だって通さないよ」

「え、…」


ゾクリとした彼の声に顔を上げれば、それは初めて見た時と同じ、ギラリとした獲物を狩る肉食動物のようだった。
 
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