血濡れた情報屋
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「遅いよ」
本部へ繋がる出入口まで行くと雲雀さんは既にそこにいて、一言そういうとさっさと本部へ歩みを進めてしまった。
「雲雀さん、ありがとう」
「……何の事だい」
草壁さんが必要なものを揃えると言ってくれた、雲雀さんに指示されたのだという。
彼は素直にそれを認めるような事はしないだろうけど。
「雲雀さん、夢奈さん」
ツナの手招きに、私たちは足をそちらに向けた。
雲雀さんは若干不機嫌なように見えた。
「夢奈、雲雀んとこいたのな」
「えぇ、暫くいる事になったの」
部屋に入ると山本くんが話しかけてきた、笑って返せばツナは少し驚いた顔をした。
「…群るなら、咬み殺すよ」
「雲雀さん、夢奈さんをみんなに紹介しないと…!!」
トンファーを構える雲雀さんからは殺気が漏れていた。
自分に向けられたものじゃないけど、私を取り巻く風たちもピリピリしてしまう。
「…雲雀さん」
「……」
私を一瞥すると、雲雀さんはトンファーと殺気をしまってくれた。
「少しだけだよ」
ドカッと椅子に腰かけて優雅に足を組む雲雀さんはご立腹のご様子。
「あ、彼女がこの間言った情報屋の…」
「夢奈よ、よろしく」
チラッと私を見たツナの言葉を繋げた、苗字を紹介されなくなんてないんだ。
「昨日の!!」
「昨日は挨拶できなくてごめんなさい、笹川くん」
大きな声に少し驚いたけど、それ以上に彼が驚いていた。
名前を教えた覚えはない、と。
「私は情報屋よ?名前くらいわかるわ」
クスクス笑って握手を求めたら痛いくらいに握られた。
マフィアとは思えないくらい暖かい雰囲気に、すぐに打ち解けられた。
「夢奈、帰るよ」
「あ、ちょっと待って!!…ビアンキさん」
我慢の限界が来たのか、立ち上がった雲雀さんは不機嫌丸出しだ。
「あの、頼みたい事があって…」
姉御肌の彼女なら聞いてくれる、男の草壁さんには頼みにくい事をお願いした。
「わかったわ」
「…すみません」
もう一度雲雀さんに名前を呼ばれて、歩き出す雲雀さんの後を追った。
勿論、みんなへの挨拶は忘れずに。