血濡れた情報屋
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今日の私は随分とお喋りだ。
今さっきあったばかりの人間に、自分の秘密をこんなに明かしてしまうなんて。
彼が敵になったら大変な事になってしまいそうだ。
「…普通話さないって事は、他にも知ってる人はいるの?」
「…それは、当然いるよ」
彼の言う通り、普通話さないって事は他の人が知るはずない。
でも私が話さないだけで私の事を知る人はいる。
「…だってほら、実際知ってる奴いたでしょ?ついさっき」
「そうだね、理由くらいわかってるんでしょ?」
まだ本当の事を話すべきではないと思っている自分がいて、彼になら話しても良いと思う自分もいる。
それはきっと彼が他人の事を誰かに話すような人じゃない事を知っているからだろうか。
「…まぁ、わかってはいるんだけど、ね……」
「わかってるならそいつを咬み殺せば良いんじゃないの」
彼が言っている事は正論だと思う、でも何もできないわけがある。
「君に殺気を向ければ相手は死ぬ、便利じゃない」
「っ…便利なはずないでしょ!!?…話、聞いてた!?」
本部へ向かう途中の森の中。
静まり返っているはずのそこに私の声が響き、迷惑そうに鳥が飛んだ。
「……ごめんなさい、急ぎましょう」
その後、お互い無言のままで本部まで向かった。
彼に原因があるにしても、私がこの場を気まずくしてしまったのだ、何を話せば良いのかわからなかった。