血濡れた情報屋
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「あ、雲雀さん。お帰りなさい」
「…]世、お初にお目にかかります」
笹川了平と別れてすぐ、彼の苛立ちはほとんどなくなっていた。
軽いノックのあと部屋に入れば、待ってましたと言わんばかりにボスである沢田綱吉が迎えてくれた。
「い、いいよツナで、えと喜久宮さんだよね」
「あまり苗字は好きではないので、名前で読んでいただけますか?」
ニッコリ笑うと彼は少し淋しそうな顔をした。
雲雀さんは隣で静かに立っているけど、早く帰りたそうにしてる気がする。
「しばらくここにいてもらうから、部屋なんだけど…」
「夢奈は僕が預かるよ」
静かに立っていたはずの雲雀さんが突然口を出した。
それには私だけでなくデー、ツナも驚いたらしく、彼を凝視していた。
「彼女にはまだ聞きたい事があるんだ、それに彼女を連れて来たのは僕だからね」
「ちょっと待って、デ…ツナ、私は長居するつもりはありません‥早く行かないと」
「行く宛はないんですよね?…それに、貴女は……」
また淋しそうな顔をしたツナは、何かを知ってるみたいだった。
彼の耳に届いているという事は相当ばらまかれているらしい。
「…何か知ってるなら、尚更私を手放すべきです…私は、お荷物にしかならない」
「……雲雀さん、夢奈さんをお願いします」
ここで甘えるわけにはいかないのに、彼の云々言わせぬ瞳を、満足そうに頷き私の手を引く優しい手を、振り払う事なんてできないんだ。