血濡れた情報屋
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「よ、雲雀」
前を歩く雲雀さんに声をかけたのは雨の守護者、山本武。
楽天家で天然、いつも笑顔が眩しい。
「どうした?機嫌悪いのな」
「…ごめんなさい、私が悪いの」
私には気づいてなかったらしい、山本武は驚いたように私の方を見、またニカッと笑った。
「ツナが言ってた情報屋か」
「夢奈よ、よろしく。山本くん」
少し離れた所で雲雀さんは立ち止まっているのがわかる。
きっと私を待ってくれているんだろう。
「あぁ、よろしくな」
差し出された右手に自分の右手を重ね笑うと、雲雀さんの不機嫌さが増した気がした。
またあとで、と短く言って山本くんとはお別れした。
「………雲雀さん」
「……何」
ボスである沢田綱吉の所へ向かうならここを右のはず、なのに彼は逆方向へ曲がってしまった。
「…ボスの所へ行くには右に曲がるはず」
「行きたいなら行ったら」
鋭い視線、殺気は含まれていないものの、苛立ちは強く含まれていた。
「え、あの…」
「何、行き方わかるんでしょ」
さっきの事くらいでこんなに怒るほど彼は鬱陶しい人間だっただろうか。
「わか、」
「雲雀!!」
右側、ボスの所へ向かう為の方向から聞こえた声が私の声を遮った。
雲雀さんは面倒臭そうに溜め息を漏らしていた。
「どこへ行くつもりだ?帰ったなら沢田の所へ行ってこい!!」
「……夢奈行くよ」
また面倒臭そうに私の手を引くと私の声を遮った彼、晴れの守護者、笹川了平の横をすり抜けた。