血濡れた情報屋
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瞳が鋭くギラリと光った。
まるで肉食動物が草食動物を捕食するかのよう。
「君かい、ボンゴレの情報を流したっていうのは」
「……嘘の、ね」
ついさっきまでうるさかった建物内はしんと静まり返って、私の前にいたはずの複数の男は地に伏せている。
「みたいだね、どういうわけか僕が草食動物だと思われてた」
「…貴方は肉食動物よ」
私の言葉に満足気に口角を上げると牢の鍵をトンファーで壊してくれた。
「…ありがとう、雲雀恭弥さん?」
「君、僕の事知ってるの」
牢から出て、クスクス笑う私に彼は怪訝な顔をした。
「当たり前よ、私は情報屋なんだから」
「…それなら自分の身くらい自分で守りなよね」
私を置いて先に行こうとする呆れ声の彼に早足で追い付いた。
「守ってたじゃない、情報で」
「どこが、完全に囚われてたくせに」
確かに否定できないけど、私は生きてるし、私の身に何かあればボンゴレが動く事も知ってる。
「ねぇ、私の通称知ってる?」
「…疾風」
一瞬鋭い風が吹き、それと同時に彼が振り返りトンファーを構えた。
次の瞬間地に伏せていたはずの男が音を立てて倒れ、血溜まりを作った。
「今、何したの」
彼のトンファーを向ける相手が、私になった。
ギラリと光る瞳が私を捕らえた。
「…武器を向けないで、貴方は殺したくないの」
「質問に答えなよ」
今にも襲いかかってきそうな雰囲気に私を取り巻く風が反応する。
「…答えるわ、だからトンファーを下ろして…殺気立たれると押さえきれなくなる」
彼がゆっくりトンファーを下ろした所で、私はゆっくり深呼吸をした。