V

□4章 変身


(お、おい。どうしたんだ、アイツ…大丈夫か。
なんか、つついたらそのまま塵となって消えそうな顔してんぞ)

(ん〜〜、でも、ああゆう姿も素敵ですね!
儚げな雰囲気かもしだすお師匠様見てると、ガラス瓶に入れて眺めていたくなりません?)

(ならねーよ!!)

(あ。もしくは試験管の中に入れる、とかでも大丈夫です♪)

(…チビっ子。お前、意味不明な怖さがだんだん、カオスに似てきたな)

(えへへへ♪)


…まあ、それはそうと。

ブラックマジシャンが、うわの空になってる理由は、簡単に予想がついた。


(多分……お師匠様、マスターたちのこと心配してるんだろうなぁ…)


崩壊しつつある、ドミノ町。
では、その町に住んでいる住民――武藤遊戯たちはどうなってしまったのか。
ブラックマジシャンは、自分の身以上に案じているだろう。

すでに消滅している――その最悪な事態も頭をかすめているかもしれない。

立ち尽くす師匠の後ろ姿を、ガールはしばらく眺めていたが、
やがて、ぐっと気合をいれるように両手を握った。


(……よしっ!
こういう時こそ、私が元気づけてあげなきゃね!!)

「お師匠様!」

「…っ?」


ぽんっ!と、見習い魔術師は師匠の背中を叩く。
我に返ったように、ブラックマジシャンは彼女に向き直った。


「な…なんだ?ガール」

「ここでぼんやりしてても仕方ないですよ。
ひとまず、何か行動起こしませんか?」

「……!!!
こ、この私が……お前ごときに助言をもらうとは……。
……なんたる不覚…」

「ヒドイーーーー!!?
もっとこう感謝の言葉もらえるかと思ったら全然違った!
そそ、そんな言い方しなくてもいいじゃないですか、お師匠様!
確かに私、普段はアレですけど、やる時はやるし、言う時は言いますよ!?」

「む……そう、か。そうだな……。
いや、すまない。
今のは確かに、私が悪かった」

「よーし!悪いと思ってるなら、今すぐ私にハグをお願いします!
もちろん、鎧とローブを脱いだ状態で!
私にしっかりと人肌を感じさせてくだ……きゃんっ!!」

「ど、どさくさに紛れて何を言ってるんだお前は!
私が身体を許すのはマスターだけと心に決めている!!」

「よし、兄弟。
とりあえずお前も、いったん落ち着け」


…結局アンチが、ブラックマジシャンと、ガールのやりとりを収束させた。
うわの空だったり、取り乱したりしたことを若干、反省しながら、
ブラックマジシャンは、こほんと息をつく。


「……しかし。
行動すると言っても…どうしたものか」


すると、その言葉にガールが無邪気に提案した。
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