V

□2章 救出


ドガァァァァン!!!


「いィッ……てェッ!!」

「ぐっ…!」


ガールの突然の攻撃に、ブラックマジシャンとアンチは吹き飛ばされる。

「ブラックマジック」よりは、威力は小さい「ブラックバーニング」
しかし、その直撃を受ければ、さすがの彼らでも相当のダメージだった。


「こっ……
このチビッ子ォッ!!
テメェ、人が優しく起こしてりゃいい気になりやがって!」


ぐわー!!とまくしたて、怒りのままに杖を構えるアンチ。

それを見て、ブラックマジシャンは慌てて止めた。


「待て!攻撃するな!」

「ああん!?
寝ぼけ半分の可愛いイタズラだから、許してやれってか!?
いつの間にそんな弟子煩悩になった兄弟ィッ!!」

「違う!よく見ろ!
今のガールは正気ではない!」

「はん?」


…言われて、アンチもやっと気づいたようだ。

確かに、今のガールは寝ぼけているわけではない。
目に正気の光がなかった。


「……まさか、誰かに操られてるってオチか?」

「おそらく、この世界消滅の黒幕の仕業だろう」

「……ったく。めんどくせぇなぁ」


言いながら、アンチは再び杖を構えなおす。


「っ!? おい!
だから攻撃するな、と……」

「本気ではやんねーって。
目ぇ覚まさせるために、軽く吹っ飛ばすだけだ」

「……っ!」

「そうでもしねぇと、
あのチビっ子、元に戻らなそうじゃねぇか」

「……」


迷いながら、ブラックマジシャンはガールを見る。

…わずかだが、ガールを包む邪悪な気配の魔力が見えた。
ブラックマジックで、あれを焼き払えれば、彼女は元に戻るかもしれない。


(……っ…しかし……)


いくら手加減して攻撃するとはいえ、
あの小さな弟子が、自分の目の前で傷つけられるなど――。


「……っ!!」


ブラックマジシャンは、ガールを……。
  1. 庇う
  2. 庇わない


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