V

□1章 始動



――ドカァァァンッ!!


大気を震わす爆音が、
こだまする。

炎と煙が、天をも焦がす勢いで闇の空間を焼いた。


――ドカァァァンッ!!


さらに激しい爆音が響き、爆風と火炎が弾ける。

…その地獄のような空間から、ひとつの影が飛翔した。


「……やれやれ」


けだるけに髪をかきあげ、火の粉を振り払ったのは、
大魔術師・マジシャン・オブ・ブラックカオス。

普段は可愛い弟子たちとたわむれつつ、のんびりと微笑む彼だが…
今日のカオスに、そんな甘い表情は見られない。

大魔術師の顔は、全てを斬り捨てる刀のように研ぎ澄まされていた。


「…まいったな」

『…………』

「貴様。一体どこから
この世界に入りこんだ」

『…………』


辺り一面を火の海に変えた『敵』に、カオスは鋭い言葉を投げる。

すると…返ってきたのは、不気味な嘲笑。


『……ハハハハ…。

ブラックカオス……。

世界は、マモなク消滅すル』

「…………」

『私の楽園ノタメニ、
モンスターも、
デュエリストも…
全てガ消エル。




…スデニ、終焉の歯車ハ回リダシタ。




モウ……誰ニモ止メラレナイ――!!』
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