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□『映画 超融合!』A
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「さらに、オレは奇跡のマジックゲートを発動!
自分のフィールドに魔法使い族が2体以上いる時、相手のモンスターを守備表示にし、そのコントロールを得る!」
「! こしゃくな……!
トラップカードSinForceを発動!
このカードを装備したモンスターは相手の魔法効果を受けない!
これで私のパラドックス・ドラゴンは奪えまい」
遊戯の攻勢を交わし、笑みを浮かべるパラドックス。
その邪悪な笑みに気圧され、ガールは思わず息を飲んだ。
『マ、マスターの戦略が読まれるなんて……』
『……言ったはずだ、ガール。憶するな、と』
『! お師匠様……』
『マスターを信じよ。
その想いがわずかに揺らげば……勝利は遠ざかる』
言いながら、ブラックマジシャンはパラドックスを見据え続ける。
動揺を一切見せず、敵から目を離さない鋭い表情は、美しくすらあった。
――と、その時。
「ぐうぅッ……!」
(あっ……!)
パラドックスの苦鳴に、ガールはハッして顔を上げる。
見れば、自分たちのフィールドに、スターダスト・ドラゴンが戻ってきている。
…遊戯の魔法カードは、最初からスターダストの奪還を狙っていたのだ。
「遊星、これで君のカードは取り返したぜ」
「遊戯さん……!」
「最初から、スターダストを奪い返すつもりだったんですね!」
(……! マスター……)
スターダスト・ドラゴンを相手のフィールドから消し去る――。
遊星の心も、スターダスト・ドラゴンの心も傷つけず、見事にやってのけた。
優しき王に胸打たれ、ガールは自然と笑みが浮かぶ。
…その一方で、ブラックマジシャンは確信していた。
優しいだけでは――王になどなり得ない。
「これでSinパラドックスドラゴンの効果は消え、
俺たちのモンスターの攻撃力は元通りとなる……!」
「やるな遊戯……だが、いくら攻撃力を取り戻したところで、
パラドックス・ドラゴンの攻撃力は4000。
君たちのモンスターの攻撃力では、程遠い……」
「……それはどうかな」
「…っ?」
そう。遊戯は――我らが王は、優しいだけではない。
敵を打ち滅ぼす確固たる強さも、その心に秘めているのだ。