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□パンドラ編B
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『パンドラ編B』
ブラックマジシャンは、爪で皮膚が破れるほど強く、拳を握りしめていた。
奇術師パンドラとのデュエル。
遊戯はついに絶体絶命の状況に追い込まれてしまったのだ。
(マスターが……やられてしまう……!)
はりつけにされたまま、ブラックマジシャンは唇を噛む。
「悪夢の十字架」で、ブラックマジシャンの動きを封じられながらも、遊戯は壁モンスターを出して対抗していた。
しかし、パンドラは遊戯の抵抗を嘲笑うかのように、勝利への王手をかけた魔法カ−ドを発動したのである。
非情なマジックカ−ド「エクトプラズマ−」を。
「もちろんご存知ですよね?
このカ−ドは、モンスターからエクトプラズマ−を抽出し、相手プレイヤーに直接砲撃することができるのです。
壁モンスターを通り抜けてね!」
もちろん、遊戯は「エクトプラズマ−」の存在を知っていた。
だからこそ、怒りが沸き上がってきた。
「まさかっ……貴様は、自分のモンスターの魂を犠牲にするつもりか!?」
(……!)
ブラックマジシャンは目を見開く。
そして、遊戯と同じように、身体の中で激情が吹き荒れた。
(この男……なんという戦略をとるのだ……!)
しかし、彼らがどれだけ怒りに身を燃やしても、パンドラの心には届かない。
パンドラは残酷な笑みを浮かべながら、タ−ンを進める。
「さあ、行きますよ…?」