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□誘惑
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『誘惑』
激しい息苦しさを感じて、ブラックマジシャンは目を覚ました。
嫌な汗が頬からアゴへ伝わる。
眼前に広がるのは、見覚えのない景色。
「……こ、こは…?」
頭が痛み、視界が揺らぐ。
右手で額を支えようと
したが−−できない。
腕が、全く動かないのだ。
「…………!?」
否、腕だけではない。
ブラックマジシャンの身体は、錆びた十字架に
はりつけにされていた。
「なんだっ…これは!?」
「ふぅん、どうやら実験は成功のようだな」
聞き覚えのある声。
ブラックマジシャンは大きく目を見開いた。
「な…………………
海馬瀬人!?」
彼の眼前に現れたのは、
KC社長、海馬瀬人だったのだ。