流れ星に、接吻
□流れ星は人攫い
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やっぱり人間って奴は非現実に憧れていると思う。少なくともわたしは憧れていた。
現実ってのが何なのかもいまいち分かっていないけど、いつもと違う何か。そんなものが普通になることを頭のどこかで夢見ていた。ほら例えば、きらきらのドレスとか、呪文を口にするふくよかな魔女。もちろん、さらさらと綺麗な髪を靡かせる王子様とか逞しい騎士たちが現れることも。
だけど、いざそうなると困るもので。しかもそれの中心人物となると逃げ出したくなるもので。こう大声で叫んだ。
「夢なら醒めて、今すぐに!」