-adult love story-
□特捜*桐沢洋
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「ママ!マキちゃんちに遊びに行ってくるね!」
「迷惑にならないようにするのよ!」
「うん、行ってくるね!」
大地さんと結婚して10年が経ち、娘は7歳になった。
それなりに充実した毎日を送っていたけれど、帰りの遅い大地さんと、規則正しい生活を送らなきゃいけない娘。
わたしが娘の部屋で一緒に寝るようになり、寝室が別々になった。
いつしかわたしたち夫婦は、セックスレスになっていった。
わたしは、夫婦の会話すら成立しない日々に不満が募っていた。
現実に取り残されたような寂しさや不安がいつもわたしの中を渦巻いていて、そんな寂しさや不安を掻き消そうと、出会い系サイトに手を出していた。
娘を送り出したあとに、パソコンを開き、いい人がいないか、じっくりと見て回る。
−−すると。
あるメッセージに目がいった。
「『ひと夏の恋愛をしませんか?私は小学校の教師をしています。他の時期に比べ、夏休みはわりと自由に動けます。日々のストレス解消のためにサイトに登録しました……』へぇ……学校の先生も出会い系やってるんだ…。あ、既婚なんだ……メールを出してみようかな…」
軽い気持ちだった。
別に会わなくても、メールで愚痴を聞いたりしてもらえればいいと思っていたから。
『はじめまして。わたしは……』
簡単な自己紹介を書いて、メッセージを送る。
すると、すぐに返事が来た。
彼は、ヒロさんと言って、小学校の先生をしているというのは、間違いではなかった。
−−わたしは昔、先生を好きになったことがあり、先生と付き合いたいと本当に思ったことがあった。
だけど、その願いは叶わず、わたしは縁あって大地さんと知り合い、結婚した…
どうせ会うわけなんかないんだからと、わたしは、夫である大地さんとはセックスレスであることなど、今まで溜まっていたものを吐き出すかのように、語った。
それから、ヒロさんとはたくさんメールをした。
夫婦生活が破綻しかかっていても、わたしと娘が暮らしていけるのは大地さんのお陰だから、こんなことをしてはいけないことくらい、頭ではわかっているのに。
だけど、会ったことのないヒロさんが、気になっていったのは嘘ではなくて。
会いたいと言う思いが、日々増していった…
ヒロさんとメールのやり取りをしてから、10日ほど経ったある日。
ヒロさんから、
『会いませんか?』
と言うメールが送られてきた。
わたしは、びっくりしつつも、わたしもヒロさんに会いたいと思っていたから、
『はい。』
と、返事をした。
明後日に会うことに決め、わたしは落ち着かない時間を過ごしたのだった−−
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