-adult love story-
□禁恋A*都賀井滋
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あれからもう何年になるのに。
今でも夢を見る。
恋人だった都賀井先生との時間を−−
「変わってないな…」
私は、母校の前に立っていた。
親友・梨佳の結婚式に出席のため、久しぶりにこちらに帰ってきた。
私は、青城学園を卒業後、大学進学のためにこちらを離れ、二年前に、そこで知り合った人と結婚した。
「ゆりか、久しぶりー!」
「あー!梨佳、久しぶり!お腹大きくなったねー!」
大学生の頃は良く会っていたけど、お互いに就職してからは忙しくて、久しぶりの再会だった。
梨佳は妊娠していて、安定期の今、式を挙げることにしたそうで。
参列する人も少人数で、これといった準備もないらしく、挙式の前日にも関わらず、こうやって会うことになったのだ。
ご飯を食べたり、梨佳の体調に気をつけながら買い物したりと、久しぶりの時間はあっというまで過ぎていき、夜更かしはお肌に悪いからと、別れた。
次の日。
二人を祝福するかのように空は真っ青で。
そして花嫁の梨佳も、本当に綺麗だった。
私は、幸せいっぱいの梨佳を目を細めて眺めていた。
挙式開始前の穏やかで見晴らしのよい、デッキの上。
私に影が射した。
「…ゆりか…ちゃん…?」
「え………!!」
私の目の前にいたのは。
私が今でも夢に見ていた、元カレの都賀井先生だった。
「…どうしてここに…」
私はわけがわからなかった。
「…梨佳ちゃんから聞いてなかった?」
「え……」
「梨佳ちゃんの旦那、俺の大学時代の仲間なんだよ。」
「!!知らなかった…」
私は独り言のように呟く。
「梨佳ちゃんが、僕とアイツが仲間だって知ったのは、招待状を送ったあとだったみたい。梨佳ちゃん、悩んでいたみたいだったけど…」
別に私は、梨佳がそのことを言わなかったことに腹が立たなかった。
付き合って最終的に別れてしまったけど、お互いが嫌になって別れてしまったわけではなかったから。
結婚した今でも夢に見るくらいだから、心の中でずっと引っ掛かっていたんだと思う。
先生が初めての彼氏で、処女を捧げた。
年上である先生は、とっても魅力的で、私にいろんなことを教えてくれた。
大学進学の時、先生は親身になって相談に乗ってくれて、私がやりたいことを学ぶ学科が県外にしかなくて、諦めようとしたときも励ましてくれて、私と先生は離れたんだけど。
先生も教師の傍ら、個展を開くなどして忙しくて、私もやりたいことを極めようとすればするほど、忙しくなって、私たちは別れを選んだ。
「ゆりかちゃん、結婚したんだってね。どう?楽しい?」
気が付くと、都賀井先生は私の目の前に座っていた。
「それなりには……。先生は…どうなんですか?」
「どう、って?俺は変わらないよ。あの頃のまま。この格好を見れば、わかるでしょ?」
「……そうですね……」
都賀井先生の風貌は、あの頃と全く変わっていなかった。
煙草を燻らせて、私を見るその表情は、あの頃と変わっていなかったけど。
(先生は、私のこと…どう思っているのかな……)
先生の表情からは、それを読み取ることができなかった。
ぎこちなさはあったものの、時間が経つに連れて普通に言葉を交わしていたけど、挙式の時間となった。
「会食会、出席するでしょ?」
「はい。もちろんです。」
「またあとでゆっくり話そう。」
「あ……はい…」
私たちは、それぞれの席へ向かった。
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