-adult love story-

□SP*石神秀樹
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とある料理屋の個室にて−

「義母が本当、いちいちうるさくて。わたしはわたしなりにやってるのに、まるでわたしがダメな嫁みたいな言い方して!頭に来るんですよね!!」


わたしは、彼に向かって愚痴を言っていた。


「………」

彼は、ウーロン茶を飲みながら、黙ってわたしの話を聞いている。




彼はいつも、わたしの話を黙って聞いてくれていた。

「スッキリしました!すみません。いつも愚痴を聞いてもらって。」
「いいえ。貴女の気持ちが落ち着くなら、いくらでも聞きますよ。……料理を食べたあとは……身体もスッキリさせなくてはいけませんね。」
「秀樹さんってば…」
「リラックスする時間を持たなくては、仕事も家事もはかどらないでしょう?私も楽しませてもらってますし。気にしないでください。」
「…ありがとうございます…」




秀樹さんは独身で、わたしは既婚。


わたしたちの出会いは、あるサイトの質問コーナーにわたしが質問をしたのがきっかけで、何回かやり取りしているうちに、会いましょうと言う話になり、何回か会い、月に一度だけ、こうやって食事をし、身体の関係を持つようになった。



だけど、彼がどんな仕事をしているかは、知らない。
分かるのは公務員らしいってことだけ…


彼は仕事を忘れるため、わたしは家庭を忘れるためにこの関係を続けていた。


この時間があるから、お互いに苦しいことや辛いことを乗り越えることができた。









「今日は、半休を取りましたので、少し遠くに行こうと思いますが…大丈夫ですか?」

食事を終え、車に乗り込むと秀樹さんが言った。

「大丈夫です。」
「……ありがとうございます。」

秀樹さんは軽く微笑むとエンジンを掛け、車は静かに目的地へと向かった。









*************

車は静かな山あいにある、ラブホに着いた。

時折、鳥の鳴き声がし、気持ちが、ふぅ。と軽くなる。

「こんな場所にラブホがあるなんて…ビックリです。」
「ええ。先週、ここら辺を通ったら見つけまして…。ネットで調べたらかなりの穴場なのに、週末になると客室が埋まってしまうそうです。」
「そうなんですか…」

こんな山あいに、どんな用事があったのだろうと思ったけど、仕事に関わることなのだろうと思い、口には出さなかった。








シャッターを降ろし、わたしたちは部屋の中に入った。







「部屋、綺麗ですね。」

部屋は、ラブホの独特な雰囲気が抑えられていて、ちょっと豪華な部屋と言った感じだ。


わたしは辺りをくるくると見て回る。


「ゆりか…」
「!」

突然、背後から秀樹さんに抱きしめられる。

「食事は後回しで、会ったらすぐにでも抱きたい…」
「……秀樹さん……」
「好きで好きでたまらない…」
「ッ…!」

耳たぶを甘噛みされ、身体がピクンと反応する。

「我慢できない…」








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