長編
□戦う女中日記
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『やっぱり江戸の中心部だからか人が多いなぁ…………。』
田舎育ちにゃキツいなコリャ
なんて事を考えながら周りを見渡す
ドンッ
『あっ…、すいません…!』
「いってーな……、何処見てんだこの女ァ!!」
運悪くも私がよそ見をしながら歩いていた所為でなんか顔中に目が所狭しとある天人とぶつかってしまったのだった。
『いやアンタが何処見てんのよ、
そんなに目をいっぱい生やして。』
「ばっ、馬鹿にしてんのかテメェ!!」
相手が顔を真っ赤にして怒っているのを見て、周りにいたコイツの仲間も寄って来た
…………マズイ。
「何怒ってんだオメーはよ。」
「この女が悪ーんだよ、たかが人間のクセに俺に生意気な口聞きやがる。」
「じゃあぶっ殺せばいーじゃねぇか。」
その一言が聞こえたと同時に私はその場から一気に駆け出した。
「逃げたぞ!!逃がすな、追え!」
遠くで天人達がそう叫んでいるのが耳に小さく届いてくる。
それを遠巻きに眺める群衆の中に、
木刀を掲げた男が一人面白そうに眺めていた。
「面白ぇな、アイツ。」