「シャニ、シャニぃぃッ!」


扉が開いたと思ったら勢い良く身体を揺すられた。


今まで昼寝したいたせいで全く思考が付いていかない。


それに加えて極度の低血圧でもある俺は正直機嫌が悪かった。


これで相手がオルガとかクロトだったら今頃殴っていたかも知れない。


いきなり起こされて不機嫌な筈なのに何故か怒る気にはなれなかった。


閉じようとする瞳を無理矢理開きゆっくりと上半身を起こす。


「ん……どうした…の…?」


寝起きであまり舌が回らない。


答えの代わりに差し出されたのは白く細い指先だった。


「フレイが塗ってくれた」


嬉しそうな笑顔で見つめられた俺もつられてふにゃりとした笑顔を返す。


「キレイじゃん…」


本当に素直にそう思った。


華奢な指先にマニキュアが似合ってて。


「ふふ、ありがとう」


大きな瞳を細めてニッコリと笑う表情を愛おしいと思った。


細い腕を引いて君を自分の胸に収めるとソファーに寝転がる。


「おやすみ」


鼻先を擽る甘いシャンプーの匂いと体温を感じながら目を閉じた。


重ねた君の指先を彩るマニキュア、紫色。


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